kigyostartupのブログ

読んだことを片っ端から忘れてしまうので、忘れないように、要約を記録することにしました。

デザインが日本を変える 日本人の美意識を取り戻す

デザインが日本を変える 日本人の美意識を取り戻す/前田育男【3000円以上送料無料】楽天で購入

300人のデザイナーを率いてマツダのコンセプトを示し体現する、同社のデザイン部門のトップが、デザインの本質を語ると共に、組織人として生きてきた軌跡を追いながら、リーダーシップの一つのあるべき姿を示しつつ、日本のクルマや、ものづくりの目指すべき方向性と、マツダの未来を語る。

第1章では、マツダの新たなビジョンとして、艶と凛によるデザインコンセプトの発表を控えて、東洋工業時代に現マツダに入社し、フォードの傘下を経て、再び独立したマツダで、デザイナー集団のトップに就任するまでを思い返します。

第2章では、就任半年で部下に総スカンを喰らい、どん底の中で、イメージの言語化に取り組み、そもそもマツダが何を作ろうとしているのかを再定義せざるを得なくなり、長い産みの苦しみの期間を経て、「魂動」という言葉にたどり着き、ビジョンカーSINARIを発表します。

第3章では、デザインを通じてマツダというブランドの価値を上げようと画策し、あえて市場調査の廃止によってデザインの主権を獲得し、SHINARIをベースに巧みにデザインをコントロールしながら、次々と新車種を世に送り出し、ブランドこそが企業経営の頂点と語ります。

第4章では、魂動デザインを通して、社員が感動を共有する機会を増やしていったことで、参画意識を高めることに成功し、自由な社風を作り上げ、ものづくりの現場に自信と活力を与えたようで、章末のコラムで現場の人たちの声を紹介します。

第5章では、日本のものづくりにおいて、機能性や価格、品質の面では海外勢に追い付かれており、デザインへの拘りのなさを嘆きつつ、凛と艶を両極とした、二つのビジョンカーへの思いを語り、今後のマツダ車に期待をかけます。

第6章では、モビリティ化によって、車が個人から分断されていく未来を懸念するが、それでも残るであろう一握りの車好きのために、ガソリン車を作り続け、世界の名車と肩を並べるブランドに引き上げる決意を表明します。

日米地位協定 在日米軍と「同盟」の70年

日米地位協定 在日米軍と「同盟」の70年 (中公新書 2543) [ 山本 章子 ]楽天で購入

60年安保改定において、行政協定が地位協定に改まるときに、占領時と全く変わらない米軍の権利を維持するために、外務省の提案による「合意議事録」なる密約にもとづいて協定が運用されるようになったことが、今日の沖縄の苦難が解消しないことの原因であって、地位協定の改定ができないのであれば、この「合意議事録」を廃棄することを提案している。

第1章では、サンフランシスコ講和条約の締結にあたり、日本の独立性を示しながら、米軍の駐留を保つために、国連の集団安全保障の文脈に頼って日米安全保障条約を別に定めた一方で、占領時と同様の権利行使を求める米軍に対して、行政協定を結ぶに至るまでを述べています。

第2章では、度重なる米軍関係者による重大な犯罪への対応を巡って、国民の不満がうっ積し、条約の存続すら危ぶまれるなかで、条約改定交渉が始まり、無理だと思っていた行政協定の改定が実現するものの、非公表の合意議事録によって、改定前と変わらないことを日本側が提案します。

第3章では、頻発する米軍航空機による事故や騒音問題を巡って、地位協定の解釈、運用の難しさが浮き彫りになる中で、米軍を利するために国内法を変えるという事態を繰り返しているうちに、ベトナムからの撤退を契機に、本土では米軍基地の縮小整理が始まります。

第4章では、沖縄返還交渉にあたり、本土並みを模索する日本と、全島基地方式を要望する米国の要望が折り合うことはなく、ほとんどの基地を沖縄に残したまま、非公開の5.11メモによって、変換前と変わらない基地運用に加えて、巨額の負担をすることになります。

第5章では、沖縄市政権返還にかかる費用の使途と、基地労働者の社会保障費の負担を巡って、思いやり予算の起源と誕生を見た後、ドル高や対日貿易赤字の不均衡是正のために年々対象を拡大、増額してゆく様子と共に、外務省、防衛庁との間の主導権争にも触れます。

第6章では、ドイツとイタリアにおける、駐留米軍NATO軍との協定について、締結までに自国に有利に働いた様々な状況があったとしても、日本とは異なり、訓練への制限や公平な費用負担、基地の管理権を自国で持ち得たこと等を紹介しつつも、どちらも管轄裁判権は得られていません

第7章では、90年代に地位協定改定を要求する機会が二度あったと指摘し、その理由を考察するとともに、歴代の沖縄県知事による地位協定改定案が、日米両政府によって無視され続けています。

最終章では、そもそも米国側は地位協定の担当者が少なく課題が引き継がれていない可能性があると指摘し、世論が安保条約や日米同盟を支持するする限りは、地位協定改定は不可能と見立てたうえで、「合意議事録」という密約の破棄を提案しています。

ハーバード日本史教室

ハーバード日本史教室 (中公新書ラクレ) [ 佐藤 智恵 ]楽天で購入

ハーバード大学で、日本史が熱心に教えられていることに気がついた著者が、何を学び教えているのか、日本が世界に与えた影響、日本の強みと課題、日本が果たすべき役割を探るために、10人の教授へのインタビューし講義風にまとめるかたちで、日本の価値を再発見するもの。

序章では、明治維新後に初めて日本人としてハーバード大学に留学した金子堅太郎を筆頭に、小村寿太郎、松方乙松、山本五十六を紹介した後、ライシャワーが設立した日本研究所と、その人気ぶりに触れています。

第1講義でアンドルー・ゴードンは、第二次世界大戦の敗戦で日本の積極性が失せており、負の歴史を否定せず認める勇気を持ち、品格ある国家を目指すことを提案しています。

第2講義でデビッド・パウエルは、鎖国をしながらも各地では積極的に諸外国と貿易していたことや、明治の日本人の英語力を称賛したうえで、これからの日本人は内向きを改めて、もっとコスモポリタンになれと叱咤します。

第3講義ではアルバート・グレイグが明治維新での近代化への貢献度では、大久保利通木戸孝允こそが、西郷隆盛坂本龍馬よりも高いと評価し、内向きと評される現代の日本人は目標を見失っていると指摘します。

第4講義イアン・ジャレッド・ミラーは、環境やエネルギーの視点から見たたときに、一例として九州の炭鉱が沿岸部に近く運搬しやすかったことが近代化を促進した等を述べ、日本の強みが情に厚いことしています。

第5講義では、ジャパン・アズ・ナンバーワンで知られる、エズラ・ヴォーゲルが、当時の米国、アジア諸国の反応を振り返えった後、教育や治安を称賛し、経済面ではなく、環境や平和、貿易分野で世界をリードしてほしいと期待を述べます。

第6講義では、ジェフリー・ジョーンズが、岩崎弥太郎渋沢栄一を対照的したうえで、資本主義が正当性を失うなかで、渋沢栄一の目指した合本主義が、格差を是正するものと説きます。

第7講義ではサンドラ・サッチャーが、トルーマンの原爆投下の意志決定プロセスの欠陥を指摘したうえで、終戦詔書に見られる昭和天皇のモラルリーダーシップに触れて、過ちを認める重要性を説いた後、日本の平和主義に期待をかけ世界の良心であることを望みます

第8講義ではテオドル・ベスターが、和食文化の独自性の他、築地市場に働く人びとで形成された、ひとつの社会としての完成度について紹介したうえで、豊洲移転問題を官僚主義的と断じて、豊洲市場の将来を憂いつつ、日本人は内向きを返上して外に出ることを提案しています。

第9講義ではジョセフ・ナイが、軍事や経済からなるハードパワーに対して、政治や文化、国際貢献などのソフトパワーが日本が世界からの信頼を維持するものとする一方で、人口減少に備えて移民政策を見直すことを提案しています。

第10講義ではアルマティア・センが、一人で決めずに皆で相談して決める、という十七条の憲法に日本の民主主義の精神を見ることに始まり、教育熱心である等を論じたうえで、世界に日本が存在することの歓びを伝えて締めくくります。

日中戦後外交秘史 1954年の奇跡

日中戦後外交秘史 1954年の奇跡 (新潮新書) [ 加藤 徹 ]楽天で購入

戦後の東西冷戦期、最悪な日中関係が続くなかで、政治的に中立な日本赤十字社が中国紅十字会と連携し、在中邦人の帰国を果たすにおいて、中国側の最重要人物である李德全の動静を追いながら戦後の日中交流の原点を探る。

第1章では、国交もなく、休戦中でしかない状態の中国からの、日本人の引き揚げの困難に際して、赤十字を頼ることになります。

第2章では、日本赤十字社と中国紅十字会との交渉の過程で、中国共産党の思惑に翻弄されながらも、引き上げ事業が始まります。

第3章では、国内の反共勢力や台湾華人による妨害等を警戒しながら、 いよいよ李德全が訪日し、BC級戦犯の名簿を明らかにし、さらには釈放を伝えて、留守家族を安心させます。

第4章では、来日中の李德全の行動を追いながら、各地で迎える人びとの熱狂と共に、引き揚げ帰還という人道目的の交流が、徐々に経済的、政治的なものへと変質していく様子が見えます。

誰も語らなかった“日米核密約”の正体

も語らなかった“日米核密約”の正体 安倍晋三・岸信介をつなぐ日本外交の底流/河内孝【1000円以上送料無料】
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民主党政権時代の岡田克也外相が指摘し、広く日本国民の知るところとなった、米軍による日本への核の持ち込み等に関し、様々な文献を元に当事者同士のやり取りを再現し、日米間で必ずしも一致しない解釈や、要人の想定外の発言に日米双方の担当者が慌てふためく様子等を紹介しながら、来るべき安保再改定に備えるとしたら、対米交渉よりも、日本人自身がどう生きるかが問われているとしている。

第1章では、外務省の調査と有識者調査の解釈の違いや、そもそも密約と呼ばれているのが、何に対する約束なのかを明らかにし、本書での対象を核持ち込みに絞り込みます。

第2章では、岸信介首相とダレス国務長官マッカーサー大使らとのやり取りを経て、60年日米安保改定が成立するまでの大まかな流れが示されます。

第3章では、条約改定交渉における条文の解釈を巡る日米の確認を経るなかで「討議の記録」が作られます。

第4章では、「討議の記録」を以て、密約があったと言えるのか検証していきますが、米国も結構曖昧を駆使します。

第5章では、これまでを振り返ったうえで、平和を求めて核や軍隊を持たず、それでいて核の傘に守られている矛盾を改めて指摘し、覚悟を持って安保再改定することを提案しています。

日本人の愛国

日本人の愛国 (角川新書) [ マーティン・ファクラー ]
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歴史、文化、政治、社会、国際情勢といった切り口から、激戦の生き残りの証言や、現場に足を踏み入れた取材の様子を交えて、愛国心とそれを持つこと自体を否定も肯定もせず述べる中で、個人の内面で生じる心の動きを国が押し付けることの不合理や、また愛国心が国に利用され易いことの危険性に釘を刺し、多様化する日本社会は新たなアイデンティティに立脚した新たな愛国心を持つこと提案している。

第1章で筆者は故郷のアトランタが日本人と同じく敗戦を経験したことによって、人々が勝者の歴史観に承服できていない点を指摘しています。

第2章では、神風特攻隊の生還者や遺族らに会い、苦悩の人生に迫るとともに、作戦の無謀ぶりを指摘したうえで、あるべき愛国心の持ち方として、上から押し付けられるようなものではないと断じています。

第3から第4章にかけては、硫黄島ガダルカナルを訪れてますが、激戦の様子を伝えるにとどまらず、いまだ回収されない遺骨の問題を取り上げたうえで、戦争への評価を避けていると指摘しています。

第5章と第6章では、尖閣諸島での漁船衝突事件や東日本大震災で起きた原発事故を潮目として、日本人の愛国心に変化が起こりつつあるとしています。

第7章では、明治政府が取り入れた天皇制から、戦後の天皇皇后両陛下による慰霊の旅を巡り、政府との間にある溝を指摘したうえで、過去の過ちと向き合うことの重要性を説いています。

第8章は、琉球が日本に属すことになってから、悲惨な沖縄戦、米軍統治の後、返還から現代に至っても解決されない基地問題など、沖縄の置かれた特殊な状況に見られる、琉球民族としてのアイデンティティと、日本人としてのアイデンティティの共存に、日本人が新たに持つべき愛国心のヒントがあるとします。

日米安保体制史

日米安保体制史 (岩波新書) [ 吉次公介 ]
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日米安保の始まりから、現在に至るまでの軌跡を時系列に追いながら、構造的特質として、非対称性、不平等性、不透明性、危険性の四つの要素がもたらす、日本の国内世論の抵抗感や日米間の交渉、調整の難しさを説きながら、核密約地位協定集団的自衛権の解釈といった、今日未だ収束を見ない困難な課題に対しての、時の政権の決断の背景を多くの文献を元に解説している。

第1章では、吉田茂による講和条約と旧日米安保条約の締結までと、続く鳩山一郎岸信介政権による、新安保条約への改定と地位協定の締結の過程を追います。

第2章では、経済を向上させた池田隼人政権が、イコールパートナーシップを標榜し、また、佐藤栄作沖縄返還に動きますが、全国各地では駐留米軍由来の問題が多発します。

第3章では、田中角栄日中国交正常化を進め、三木武夫福田赳夫政権では日米同盟へと深化し、大平正芳鈴木善幸で関係悪化しつつも、中曽根康弘が同盟関係を強化し、竹下登政権の代に冷戦が終結しますが、この間に沖縄への基地集中が進みます。

第4章では、海部俊樹政権から始まり、宮沢喜一政権下でPKO法が成立する頃には日米同盟が定着しますが、55年体制が終了して、細川護煕、羽田收、村山富市を経て橋本龍太郎政権で、地位協定改定のチャンスを逃したらしいです。

第5章では、テロとの戦いのため小泉純一郎政権下で安保体制はグローバル化し、安倍晋三福田康夫麻生太郎の後、鳩山由紀夫民主党政権に米国側が不信感を持ち、菅直人野田佳彦政権で関係改善するも沖縄に犠牲の上に立つものと指摘され、第二次安倍晋三政権で安保関連法が成立し、地理的条件無しに米軍の後方支援が可能になりますが、沖縄の問題は混迷するばかりです。